お盆休みが終わり、まだまだ残暑が厳しい中。



私は、なんとか無事に教習所を卒業した。



学校では隠していた先生との関係も、今日からは堂々と話せる。



免許を取ったらケンに逢いに……そんな思いも、愛情に包まれていたからすっかり薄れていた。



晴れた空。



迎えに来てくれた先生と一緒に地元に戻る。



今では座りなれた助手席でジュースを飲んでいると……耳元に囁く声。



「家寄っていかない?」



一瞬ケンの実家が頭をよぎる。先生は実家暮らし。私のような人間が家に行ったら……嫌われる?



だけど、そんな事言えない。



先生には過去は話さない、と決めていたから。



心を占拠する恐怖心に負けないように、私は頷いた。



大丈夫。私は昼間に戻ったんだし……正々堂々彼女でいいはずだ。