その日、チェックの雰囲気がいつもと違ったのは……



扉を開けて入ってくる長身で細身な……スーツ姿の男の子がいたから。短髪で少しくせのある髪の毛を固め……。



「川口?あれお客さんじゃないの?」



無反応な川口に慌てて呼びかけると



「あ、アイツ新人。紹介するわ」



そう言って前に立たせた。



180センチは軽く越えているだろうその人を見上げると、彼は私を見て屈託のない笑顔で笑った。



「アツシって言います。宜しく!」



黙っている時の真面目そうな雰囲気は一転、口を開くと一気に軽そうな表情へと変化する。



モテそうだけれど、遊んでそう。散々な自分を棚に上げて言うのもどうかと思うけれど……。



それがアツシに対する第一印象。



普通の彼氏を手に入れた私にとってアツシは、今も、これからも、ただ行きつけの店で働く従業員……のはずだった。