イタリアンのディナーを終えた私へ向けられる、にこにことした視線を感じて顔を上げると……。



「矢口ってすごい幸せそうに食うのな」



先生がそう思ったんだとしたら、それは今が幸せだから。



先生と一緒だったらきっと、ハンバーガーでも幸せ顔になれそう……なんて思う。



カップルばかりの店内で、こうして向き合っていられる事がどれだけ嬉しいか。



普通に好きな人と食事をする事、私にとっては2年半ぶりの事。



先生には、過去は言わない。



そう決めると、普通の女の子の顔を作って笑った。



そんな私に、先生は笑顔のまま口を開く。



「付き合おうか?」