そして、そんな先生と初めて二人きりで逢ったのは、お盆休みだった。



偶然にも地元が同じだった私達は、先生の愛車に揺られて一緒に帰る。



18歳の私には、大人すぎる32歳の先生。



私が働いていたようなお店に、お客で来るようなタイプじゃない。



本当に、真面目そうで、優しくて、だけど大人として私をエスコートしてくれる。



食べたいものすら決められない私に、美味しいと評判のお店を選ぶとそこへ車を乗り入れた。



まるで恋人同士のデートのように。



ケンしか知らない私は、その一つ一つが当たり前なのではなく、特別なように感じてまた胸を高鳴らせる。



もちろん……今だってケンが来てくれたら、走って胸に飛び込むんだろうけど。



なんて。



そんなずるい私は……幸せにはなれないのかな?