ホテルの部屋は大して広くはない。



ユニットバスに簡易キッチン、そこを抜けると左右に2つのベッドが置いてある。私の部屋よりもちょっと広いぐらいのその空間。



その右側に配置されたベッドが私の場所。



好きだと書いた手紙を渡してしまった事、今更ながら後悔していた。



「葵?大丈夫??」



変な呻き声を上げながら、枕を抱いてそわそわする私を心配してくれるサオリ。



「あんまり大丈夫、じゃない……」



手紙は渡すまでは簡単。



だけど、相手がいつ読んでいるのかも分からなければ、返事をくれる保証もない。



こんな事なら……直接言えば良かった。



なんて思った時。



携帯が大きな音を立てて、知らない番号からの着信を知らせた。