同県中部。



スーツを脱いで、流行のギャル服に身を包んだ私がそこにいた。



古くも、新しくもない教習所の校舎。隣接するホテルはただ寝泊りをする為だけの食事も出来ない質素なもの。



個人的にはオーナーさんの飼っている猫がホテル内をうろついている事がちょっと嬉しい、そんな場所。



「よろしくね♪」



手を差し出すのは同室になったフリーターのサオリ。日本人形のようなサラサラした黒髪が印象的な女の子。




昼間の子と仲良くなれるのか、高校中退の私と話が合うものなのか?そんな心配は必要なかったように、私はその教習所に溶け込む事に成功した。



そんな風に……一生懸命普通を演じる私に、普通らしい感情が生まれたのは当然の事……だったのかな?