現実を見つめる事が出来ないまま、春の風が吹き4月に入る。
真新しい制服に身を包んだ少女達が、目の前で楽しそうにはしゃいでいる。
同級生は高校を卒業して、社会人になったり、大学生になったりしたんだろう。
私の……目の前だけが暗い。
まさか……本当にケンは来ないの?
絶対って言ったのに。
何か理由があるんだよね?
ケンは優しいから……私を裏切ったりしない。
言い聞かせて来た強さは、日に日に弱いものへと変わっていった。
崖に落ちていても這い上がれると思っていたのは、背中にケンを動力にした命綱があったから。
だけど……そこにあったはずの命綱が……無いよ?
私はもう……堕ちるしかないのかな?