しばらくなんの音沙汰もなかった携帯が鳴り響いたのは、夜になってからだった。



【着信:アキラさん】



待ち侘びた、アキラさんからの着信に心臓が跳ねる。



ケンを離れてから身についた、常に最悪の状況を想定する癖。



今以上傷つかないように、小さな心が行う自己防衛。



例によって、ダメだった場合を予想して……ドキドキしながら電話を取った。



「もしもし?」



不安で押し潰されそうな私の耳に響いたのは……




「見つかったよ♪」



プロなんだから当然でしょ?……なんて、ちょっと自慢げに言うアキラさんの声だった。



無意識に……両方の瞳から流れる涙を止められないまま



「ありがとうございました!」



そう繰り返す私。



どこにもいないなんて事、あるはずないのに。



だけど不安だった。



ふっと消えてしまったんじゃないかって怯えてた。



ちゃんとケンが日本の何処かに存在していたと言う事実。



それがこんなに嬉しいなんて……。



こんなにまだケンが好きで好きで、堪らなかっただなんて……。



湧きあがる愛しい懐かしい痛み。



今でも……私はこんなにケンを愛してる。