たったと駆け寄る足音に、化粧の剥げた顔を上げたのはそれから30分ぐらいした後で。



「どうした?」



何もなかったように、まるで今までずっと仲良しだったかのように、ふんわりした笑顔で手を差し出したナナさんの顔を見たら……。



今まで我慢して来た全てが一気に溢れだしてしまって……静かに泣いた。



ナナさんは、そんな私が落ち着くまで怒る事も、急かす事も無く、じっと待ってくれていた。



「急にすみません」



謝る私に全然気にしてない風で



「近くに知り合いの店があるから行こう!」



明るく言って歩き出すから、ようやく思い腰を上げた。



その笑顔に……本当に救われた気がした。