「つまり一目惚れって事でしょ」
ようやく立ち上がって電車に乗った私へ容赦ない一言が投げかけられる。
「一目惚れって……」
自分でも心の整理がつかないよ。
あの場を思い出すだけで左胸が痛いのは嘘じゃない。
でも……恋ってそんな簡単にするもの?
「たぶん聞いてなかったと思うから言っておくけどさ、あの二人6組だって」
そうだ……ケンの隣にもう一人希望者の子がいたっけ。
「分かってる?隣のクラスって事は体育と選択科目は一緒だからね♪」
想像もしていなかったアキナの言葉に、今度こそ思考回路は停止してしまい、胸の高鳴りは増していった。
一緒に受けるかもしれない授業を思ってクラクラする。
ひょっとして……これは本当に、一目惚れなのかもしれない。



