「ちょっとトイレ行って来るね」
ひとしきり飲んで、盛り上がった後フラフラとその席を立つ。
お店を辞めなければいけなくなったショックで体が衰弱しているのか、今日はアルコールが染み込むのが早い気がする。
この店のトイレの壁は薄いらしい。
キャッキャとはしゃぐマナの声が、壁を隔てたこっちにまで聞こえてきた。
声を聞く限り本当に嬉しそうだし、来て良かった♪
私も明日から頑張らなきゃな、なんてそう思いながら手を洗い、ドアを開けようとしたその時!!
「それにしてもさ、あやの奴本当に来るなんて思わなかったね?」
え……。
体がそのまま硬直する。
この声はマナの声。
だけど……私の知ってる可愛いマナの声じゃない。
蘇る記憶。そう……この声は中学時代のイジメっ子の声色と一緒だ。



