ようやく顔の腫れが引き、外を歩いてもギリギリ許されるようになった5日目。



いつか出会った駅ビルの前で並ぶ私と……マサト。



「うわー、痛そう。男のくせに手出すような奴、俺は信じられないんだけど」



そう言って、大きな手が頬へ伸びた。



黄色い肌を優しく撫でるその手に……思わず目を閉じていた。



違うよ?



この人はケンじゃないよ?



脳内に発せられる指令。



何で?



似てるよ?



ケンじゃないの?



吹き飛んでいく理性。



すっかり寒くなった冬の日。



都会の凍えるようなビル風を浴びながら……私はマサトの胸に抱きしめられていた。