もちろん、私とコウキが付き合った……と言っても、それは別に体の関係でも、デートしたりする関係でも無かった。



平たく言えば、私は彼の鎖に繋がれたお客さんだった。



それでも……一度知ってしまったホストクラブの世界は、私を飽きさせること無く魅了していく。



巧みな話術を使えば、16歳の女の子を騙すなんて事は苦にもならないだろう。



「あや、今日も逢いに来てくれる?」


「来てくれなきゃ寂しいよ」



甘えられると……断れなくて。


自分と重なったのかもしれない。


ケンに逢いたい。



そんなたった一言の「逢いたい」という言葉。


私は、それを伝える事も出来ないのに。


叶えられないのに……。




私が簡単に稼いだお金は……いつしかその日のうちに、簡単に消えて行くようになっていた。