初めて経験する雰囲気に臆する私を後押しするように、突然聞こえた声。
「マリ♪いらっしゃい!」
「ツカサ~来たよ!!」
この人が……マリさんの彼氏なんだ。
長めの茶髪で細身。縦縞のスーツが似合うイケメンさん。
「初めまして~ツカサです♪」
「え……えっとあやです!!」
口をすんなりついて出た言葉に自分が驚く。
だって……何の迷いも無く、私「あや」って言ったよね?
ここはお店じゃないのに。
新しい名前はいつの間にかこんなにも染み込んでいたらしい。
「いらっしゃいませ!」
新しく聞こえたその声に振り向くと……私の隣には、一人のホストが立っていた。



