マリさんの後に従ってタクシーに乗り込むと、車は別の繁華街へと向かう。
ソレイユ周りの高級クラブや和食店が姿を消して、小さなスナックや居酒屋が多い庶民的な……それでも同じ朝まで眠らない街へと風景は変わる。
その真ん中でタクシーを降りると、1階に何でも屋があるビルの階段を下った。
ちなみに何でも屋、と言うのは通称でお花からブランド雑貨、ドレスまでを網羅している夜の街には欠かせないお店である。
例えば「今日誕生日で♪」なんて言う目当てのキャバ嬢がいれば花束でもアクセでも、服でも何でも買える夕方から朝まで営業の夜専用のお店だ。
私にも、時々そんなお店でお土産を買ってきてくれる指名のお客さんがいるなぁ……なんて思い出していると。
「あやちゃん?行くよ~」
ふらつく私の手をマリさんが引っ張った。
見上げると扉には【GJ】と書かれている。それが店名なんだろう。
ここにマリさんの彼氏がいるんだと言う。
重そうな扉が開き「いらっしゃいませ!」と、整ったスーツ姿の男の人達がにこにこと迎え入れてくれる。
そう
そこは
……未知の世界、ホストクラブだった。



