男が人の気配に顔を上げる。 すると、通りの向こうにいたはずの女が目の前に立っていた。 見間違えかと思ったが、脇には鉢植えを抱えていた。 実は知り合いだった。 その可能性を考慮し、男が女の顔を見る。 だが、やはり見たことはない。 それよりも、男を見つめる瞳は、全ての感情を排し、ただ、慈しむためだけに存在するように感じた。