………


「銀の針なんだって」


それなのに、一美がサラリとまたそんな事を言うから、あたしは慌てて顔が真っ赤になる。


「ちょっ……ちょっと一美!」


そんなあたしの様子を、一美はニヤニヤして見ている。
何かを企んでいるとしか思えない。


「……へ? 銀の? 何?」


キョトンとしてる光郎に、一美は何だか得意気だ。


「あんたのギター、小夜子に言わせると、銀の針らしいよ。銀の針がね、キラキラーっと、降り注いでくるんだって」


手のひらをヒラヒラさせて、意地悪そうに笑う一美のそのつり上がった目が、何だか本当に憎らしい。

そんな事、本人の前で言わなくてもいいのに!


あたしがそう目で訴えると、


ギーーッ

学食に突然、椅子が床に擦れる音が響いて、

「じゃあ、ま、そゆことで」


「え!? 」


一美は平らげてしまったロールケーキの包み紙を手のひらに丸めて、含み笑いのまま立ち上がった。


「え? カズミ、もう行くの?」


身を翻して意味深に手を振る一美に、さすがの光郎も驚き顔でその姿を見上げる。