四季、あの子は相変わらずすごい子だよ。
お前が惚れてるあの子は本当に大した子だ。
「し、心配してたのか!?」
透真がクワっと目を見開いた。
『当たり前でしょ?日和ちゃんはもっとたくさん
の人と関わる必要があると前から思ってた。
殻に閉じこもってばかりでは勿体無い。』
何でもかんでも知ってんだなお前は。
「お、お前、ひーちゃんマニアか!!」
透真が狼狽えるのをクスリと笑う四季。
『何でも知ってるよ。日和ちゃんのことなら
どんなことでも。』
透真の肩がピクリと飛び跳ねた。
「じゃあ、お前・・・知ってるのか?」
何が言いたいかは何となく想像はついてた。
『ん?知ってるって何を?』
やっぱり、お前はそこまで分ってたんだな。
だったら、何で日和ちゃんから離れた?
あの子を守ってやるんじゃなかったのかよ。
「ひーちゃんが一ノ瀬・・・・継ごうとしてるって
何時から知ってた?」
透真の声が静寂を産んで車の中がシーンとなる。
『日和ちゃんが帰ってきてから元気がない日が
あって、気になって調べてみた時?』
そんな前から知ってて何で日本に残らなかった!?
「そんな前から・・・・・」
『透真、言ったでしょ?日和ちゃんのことなら
どんな些細なことだって分かるよ。』
それじゃあ、お前が居なくなったのはそれが理由か?
「知っててどこほっつき歩いてんだよっ!」
『透真も人のこと言えるの?僕よりフラフラしてるのに。』
「お、お前よりフラフラしてないぞ!い、今はだな、ペット
ショップで働いてるんだからな!!」
『へぇ~、偉いね。』
一体、何を考えてんだよ。
「四季、お前どうして姿を現さない?」
『訳あって今は日本に帰れないだけだよ。』
「な、何!?」
透真、お前は少し黙っててくれよ。
お前が居ると話がややこしくなる。

