とにかく、さっきからちぃ君にジッと見られてる。

しかも、廊下をすれ違う外敵からずっと盾になろうとする。

おじさんたちもそんなちぃ君を見て笑ってた。

一体、ちぃ君は何がしたいんだ!?

夏君は相変わらずちぃ君の腕の中でニコニコ笑ってる。

「あの方は何がしたいんだ?」

小さい子ですら自由に遊びまわってる安全地帯に、

何故そんなに警戒する必要がある!?

「千治の好きにさせてやって。」

そりゃ、いいけどもさ馨君ガードされすぎて

庭の景色もあんまり見れないのよさ。

「ちぃ君、お庭を拝見したいのですが!」

「ん?」

「だ、駄目だろうか?」

チラッと庭を見てすぐに隊長から了承を得た。

あの後、純玲さんと稜さんはそれはそれは

仲睦まじく脳天気にナスの話で盛り上がって

いたのでそっとしておいた。

「わー、わー、とっても感動ですっ!

it's beautiful!」

日本の観光スポットとして紹介されるべきよ!!

「日和ちゃん、真顔で言われても納得出来ないよ。」

「馨君、これでもすごく興奮してますっ!

お庭のお手入れは誰がやっているのですか?」

誰だったかなと言う馨君に伊織君が閃いたようだ。

「確か、まっさんだよなちーさん?」

「・・・・・まっさんだな。」

何だ、今の間は何があった!?

「そ、そういえば、聞きそびれてしまったのですが。」

さっき純玲さんと話してる時に出た話だ。

「何が?」

馨君がくるりと振り返るとピンク色に近い赤い髪が

風に靡いていた。

「皆さんと仲の良かった男の子が居たというお話を聞きまして!」

そうなのだ。さっきのちぃ君の昔話に出てきた。

純玲さんが言うには馨君の幼なじみでよく遊びに来ていたとか。

一体、その幼なじみはどこへ旅に出たのだろうか!?

な、仲が良かったような雰囲気ではあった。

変なこと聞いてしまったかなとキョロキョロ

落ち着かないあたしに馨君がにっこり笑った。