稜さんが着物の服から手を出した。
「帰りが遅いってソワソワするもんだから、
探しに来てみれば君は本当に予想外だね。」
「す、すみません、勝手に人の奥様をお借りしてしまいまして・・」
「いや、話相手が出来て嬉しそうな純玲を見てると
こっちまで嬉しくなるからまた話相手にでもなってやってくれないか?」
「そ、そのようなお役目を頂けるのですか!!」
「・・・・・君、だいぶ変わってるよね。」
稜さんが眉を下げて笑うものだから純玲さんも
一緒に笑うから少し嬉しくなった。
「えへへっ、よく言われます。家族がみんな変わってる
人たちなのであたしもこうなったんだと思います。」
稜さんも縁側に腰を下ろすと純玲さんの横に寄り添った。
び、美男美女の夫婦が居る!
あたしこの場にふさわしくないような気がしてきた。
絶対、あたしだけ浮いた絵図だ。
申し訳無さ過ぎて土下座して謝るべきなのか!?
「そういえば、千治君は純玲さんに似ていたんですね!」
「ふふっ、稜さんにもよく似てるわ。」
純玲さんが嬉しそうに笑うのを微笑ましく見ている
稜さんの優しい瞳に少しばかり父さんと母さんの面影を見つけた。
「日和ちゃんはどっちに似てるって言われるんだい?」
稜さんが純玲さんの手を取った。
なんというかもう彫刻でも見学してる気分だわ。
「あたしはどっちにも似てると言われますね。
敢えて言うなら容姿は父に中身は母親にそっくりだそうです。」
自分ではそんな気はしてない。
父さんに似てるとか勘弁して欲しいわ。
あんな変人な父さんのどこら辺だって言うのよって感じだ。
母さんの性格に似るとか何度も言われるとそうかな?と思う。
「へぇ。ご両親には感謝をするといいよ。
君が真っ直ぐで純粋な子に育ったのはご両親のおかげかもしれないな。」
稜さん、とことん放置をされて育って来ました。
全く両親の影響は受けてないかと思われます。
「それでは、みんなを育ててきてくれた稜さんにも純玲
さんにも感謝をせねばなりませんね。」
出会いは人を成長させる。
根っから悪い人に育たなかったのは大事に育ててくれた
人のお陰だと思うから、弄れてても少し個性的でもそれが
らしさだと思えばそんな人に育ててもらえて良かったと言うべきだ。

