純玲さんが独り言のようにポツリ呟いた。

それは1人の母親としての募った気持ちのようだった。

「高校には入りたくないって言った時は困ったわ。

みんないい子達なのに、どうしたらあの子達のために

なるかしらと悩んで寝込んだこともあるわ。」

母親になったことがないから気持ちは分からないが、

言ってることには賛同出来た。

本当にあたしも心からそう思ってたのだ。

勿体ないことをしていると目を逸らして欲しくないと思った。

世界はどこもかしこもみんなを否定するだけじゃない。

きっと、どこかでみんなのことを認めてくれる人は居るよって

気付かないで目を伏せたまま殻に閉じこもることは惜しいことを

してるんだよってどうか知って欲しかった。

「1年は休んで高校に入ることを条件にみんなで

暮らし出してまた学校に行かなくなったって聞いて、

何か掛けてあげる言葉があればとずっと探していたのよ。」

やっぱり、この人すごく良い人だ。

「そうだったのですか。」

「だから、留年した次の年の春に1人の女の子に出会って、

あの子達早起きするの苦手なのに行くようになったって

谷山が教えてくれた時は心の底からその女の子に感謝したわ。」

「あたしは本当に何もしてないのです!」

「何もしてなくてもいいのよ。それでも、あの子達には

日和ちゃんっていう女の子に出会う必要があったんだわ。」

あたしに出会ってみんなにが訪れたならマグレだ!

本当にあたしのようなちんちくりんが心を動かせる

わけないのだから何かの間違えだ。

「滅相もありません。あたしこそ、みんなに出会って

自分が少しずつ人に関われるようになれたのです。」

4月の出会いから巡るめく時を越えて思い知った。

あたしはなんて勿体ないことをしていたのだと。

今までもっと友達になろうと努力することは

出来たのではないだろうかと思えた。

それはみんなとの出会いがなければ思いつかなかった。

「それは、日和ちゃんも努力したからね。」

ほんの少しの自信がついた。

それは紛れなくみんなのおかげだ。

嫌だといいながらも委員長で良かった。

みんなに出会えたことはきっと一生に残る大事件だ。

ずっとずっと心から焼きついて消えないように、

大切にいつでも思い出せるようにしたい。