ココちゃんと茉莉花さんと別れた後すぐにお手洗いに

案内してくれた純玲さんはクスリと笑うとたまに

見せてくれたちぃ君の笑みに似ていてジッと見てしまった。

「どうかしましたか?」

「い、いえ、その似ているなと・・・」

この人から生まれたんだと納得を今更ながら

していましたよ。

お手洗いに行ってから辺りをキョロキョロ挙動不審の

ようにしていたら純玲さんが若い組員さんに会釈していた。

その様を見ているとハッと気付いた。

す、純玲さんって・・・極妻!?

『ナメたらあかんぜよ!』

って決め台詞はいつ聞けるのかしら!!

に、似合わなすぎて想像がつかない。

この綺麗な人がそんなことを口にするとは思え・・・

「純玲さん、今日もお美しいですっ!」

「あんまり煽てないでよ。」

「す、純玲さん顔面潰れます!」

見た目とは打って変わって破壊力のある方らしい。

そういえば、稜さんもそんなことを言っていたような

気もしなくはない。

組員さんが完全にビビってる!

や、やっぱり極妻強し!!

これはナメたらあかんぜよだ。

あたしは今それを垣間見たぞ。

この世のものとは思えない絶世の美女の底知れぬ

パワーを目撃した。

「あら、やだ。恥ずかしいところ見られちゃったわ。」

ふふっと微笑む純玲さんにドキドキだ。

昔見た母さんの微笑む顔を思い出して照れた。

小さい頃の薄らとした記憶の中でふわりと優しく

微笑む母さんがすごく好きだった。

普段は驚くべき自由人な母も子育て中はとても

優しい母親の顔でいろんなことに挑戦させてくれた。

マミーがふわふわ笑うようなのにも似ていた。

母親たちはみんなこんなに優しく笑うと思うと、

あたしには一生出来ないような気がした。

「いえ、そんなことはないかと思います。」

和服からでも分かるほど線の細さに、

驚くも強くてしなやかな人なのだと思った。