ちぃ君が不思議そうな顔をして首を傾げた。
そもそも、朝から何かちぃ君には近づいちゃ
駄目な気がしていたんだ。
だ、だって、変に誤解でもしたら藍ちゃんを傷
つけてしまいそうだから絶対にそれだけは避ける。
友情を守るための犠牲は付き物よ。
「お、お花を摘みに行かせて頂きますっ!」
ちぃ君からの視線に耐え切れなくなって、
立ち上がろうとしたらココちゃんが手を引いた。
「ひよちゃんどうしたの?」
ココちゃんが不安そうに見つめた。
そ、そうか!お父さんとお母さんの喧嘩を目撃
していたのだったかしら?
き、きっと、伊織君父も殴られたんだわ。
「え、えっとですね、ほ、ほら、虫ですよ。」
手の平に畳の上で寝そべっていた虫を見つけて、
代用させてもらった。
「えー、虫さん怖いよ。」
こ、ココちゃん可愛い!
「なので、あたしが成敗してやったのです。
何の心配もありませんよ。」
は、早くこの場からに、逃げたい。
嘘だろって視線を向けてくる大人たちから
逃げるチャンスを与えたまえ。
「ココちゃん、あたしそのお花を摘みに行きたいので・・・」
「心も、お花摘むの!」
「えええっ!?」
こ、ココちゃんお花を摘むとは隠語だと気付いて!
「で、ではお花を摘みに行きますか?」
お庭の雑草でも引っこ抜いてくるわ。
「うん!ひよちゃん、おトイレ行きたいんでしょ?」
し、知ってた!?
この小さな子が何故そんな隠語を!!
「早く行こうー!心が教えたげる。」
「うおっ」
小さい子を甘く見てはいけない。
それは今日覚えた教訓だと思う。
立ち上がったココちゃんに半ば引っ張られるようにして、
通された和室から飛び出したのだった。

