今日の内であたしに衝撃を何度与えれば気が済むんだ!

言われるまで全然気付かなかった。

でも、言われてみると似てるのかもしれない。

目元とか藍ちゃんが笑う雰囲気とか言われてみるまで

全然気付かなかったから余程鈍感なのかもしれない。

「本当に血の繋がりがある家族はアイツだけ。」

車はスムーズに動きユウヤがどんどん小さくなっていく。

ユウヤがタイミングよく居たことには驚いた。

「それはどういう?」

「私のこと聞いてないんでしょ?だったら、聞かない方が

いいんじゃないかと思う。」

「藍ちゃん?」

「・・・・・・嫌われてるから仕方ないよ。」

藍ちゃんに悲しそうな顔をさせる原因をそこで

初めて知ってしまった。

「・・・・他に聞きたいことは?」

「でも、やっぱり藍ちゃん好きな人居るよね?」

藍ちゃんが片思いをしている話は聞いたことがある。

「奴らじゃない」

「うん、藍ちゃんはもっと年上の人じゃないかな?」

あたしの乏しいが女の勘はそう判断してた。

遥かに自分より年上の人が好きなんだと思うのは、

殆ど勘でしかない。

「何で分かるの?」

「あたしも好きかどうか分からない似た感情を

ずっと遥か年上の人に抱いているから。」

だから、藍ちゃんとあたしは何か似てるのかもしれない。

この状況で得たことなんてそんな言葉に限ることで、

沈黙が訪れた車内では再び言葉が紡がれることはなくて、

言ったことに後悔はしてない。

四季さんへの想いを人に言ったのは初めてかもしれない。

咄嗟に出た言葉が人間の本心だってのは昔どこかの本で

読んで知っていたような気がする。

それが本当ならあたしの本心は今の言葉だったりする。

自分でも気付かない内にそれが本心なんだって思った。

結局、どうして藍ちゃんとユウヤが一緒じゃないのか

ってことも藍ちゃんの本当に好きな人も全部聞きそびれた。

聞きそびれたけど、今はそれで良かったのかもしれない。

だから、今聞いた話はあたしと藍ちゃんの秘密にしておこう。

あと、大和さんにも秘密ねって言っておこう!

既に暗くなった道はどこまでも空いていた。