パーティー会場に戻ってまた料理をお皿に

こんもり盛っていると大和さんがクスッと笑った。

「美味しいですか?」

「は、はいっ!」

お下品だったかなと思うより先にたくさん召し上がって

下さいねって言う大和さんにフォークを持って頷いた。

時計を見ながらスーツの上ポケットからケータイを

取り出して少々失礼しますと電話を取りに行った

大和さんの背中を見つめた。

その頼りがいのある背中を見るとあたしも頑張るぞっと

思えて料理を次々と口に運んだ。

料理に夢中になりすぎて背後で見てる人が居るなんて

ちっとも気付かなかった。

まだ終わらないのかな?足疲れたから帰ったら

サロンパス貼っておこうかなと考えてると、

「・・・・日和?」

声を掛けられたことに全身が緊張した。

知り合いが居るはずないのに声掛けられた。

あたしの名前をはっきりと耳にした。

恐る恐る振り返ると紺色のドレスを身に纏った

藍ちゃんが驚いた顔をしていた。

「・・・・藍ちゃんっ!?」

えっ、何時から!?

藍ちゃんはお嬢様だと思ってたけどこの上流階級に

居るってことは相当お金持ちで間違いない。

困惑した藍ちゃんの顔にあたしも何とも言えずに

藍ちゃんを凝視する。

「日和って苗字一ノ瀬だった?」

「いえ、立花です。」

ギョロギョロと視線を彷徨わせながら答えると、

フッと藍ちゃんが笑みを浮かべた。

「何となく、そうかなとは思ってた。」

「えっ!?」

「でも、日和にはお嬢様似合わないね。」

藍ちゃんのその言葉に自分でもそう思ったから笑えた。

「八百屋の娘とかなら分かるけど・・・」

「藍ちゃん、それ貶してますっ!?」

知り合い居て良かったっていうよりも

藍ちゃんに会えて良かったと思った。

ナフキンを差し出してくれる藍ちゃんに

受け取って口を拭うと結構べったりソースが着いてた。