潔く転んで立ち上がる予定が崩された。

あたしの計画に邪魔するとは何すんだと逆ギレしそうにさえなった。

「・・・・あんた・・・」

「ごめんなさい、お気遣いありがとう。」

ごめんあそばせって言ってやるべきか悩んだ。

正直、ごめんを言った時点で8割型言う気満々だった。

一度は言ってみようと思ってたからだけど、

顔を上げて見るととんでもないイケメンで

おうっ!?と思って言い換えた。

知らない顔だなどこの家の子だよ?

名簿になかった顔に困惑というよりは疑念だった。

どっこから入ってきた王子だよと目を瞬かせる。

白馬の王子かと思うぐらいの出で立ちで一瞬時が止まった。

白いスーツに真っ黒な髪で、涼しげな瞳からは

微かに色気を放っている。

もしも、あたしがみんなと接してなかったら蕁麻疹で

気絶してたかと思う。

とくに何ともなく、手を離すと何も言わずに去った。

誰なんだという疑問を持ったから戻ったら大和さんに

聞いて素性調べてやるかなんて思ってた。

この御恩はいつか貸してやんよという意味で、

忘れがたい顔は確かに“イケメン”だった。

それもそんじょそこらのもんとは大違いで、

パーティー会場に居るなら目立ちそうなのにと

不思議に思ってたらまたもや仕出かした。

ドンッとぶつかってぶつかった人を吹き飛ばしてしまった。

「あ、ごめんなさい。失礼しました。ご無礼をお許し下さい。」

ヤバイぞあたしと焦った。

そして、またしても“イケメン”だった。

金持ちってイケメン多いのかとさえ思えた。

もっと、イメージ的には恵比寿さんみたいなの想像してた。

「・・・いってえーな」

すごい睨まれて噛み付かれるんじゃないかと思った。

性格悪い坊ちゃんだと思ってたらいつの間にか居なくなってた。

どうも、あたしは妄想をしないとこういった禁断症状が出る

ようで一刻も早く妄想世界に行きたいよと思ってパーティー

会場に戻るのを止めて空気を吸うため中庭の噴水があるところへ

来てゆっくりとため息を吐いた。

ここで妄想するわけにもいかないよな。

早く帰りたいけどまだパーティー終わってないから戻らないと

なと思うからこそため息が溢れた。