しばらくすると、海斗さんに手招きされてようやく

さらば出来るぜと意気揚々に芹沢グループのお坊ちゃん

に別れを告げてやった。

良い人だったとは思うけど、今日も足気にかけてたしな。

でも、注目浴びるのは御免被りたい。

またもや、挨拶回りが再開されてペコペコ下げて、

愛想よく完璧なお嬢様を演じてやった。

これも研究の一対象で、本とかで勉強してみた。

もしかしたら、演技が上手いのかもしれない。

女優になれる気がしてきた。

途中で、化粧直しにお手洗いに移動した。

どれぐらい過ぎたのか分からないが、疲れてトイレに

着いた時点で靴を脱いでやろうかと思った。

トイレは意外にも空いてたからさっさと用を済まして、

グロスを塗り直して鏡で一応確認した。

顔がポーカーフェイスで良かったと思う。

愛想笑いは出来るけどすごい不細工に見える。

最早、埴輪にしか見えないほどでホラーだ。

※ニタリという表現が合ってます。

こんな顔面で挨拶周りしてたのか!

ブニブニほっぺをこねくり回して痙った

筋肉をほぐしてペチペチ叩いて気合を入れ直した。

帰ったら兄ちゃんとラーメンだからあと少しの辛抱だ!

お手洗いを後にすると広場みたいなところに出て、

絨毯にヒールが引っかかって歩きづらいなと思ってた。

モフモフしてる素材なのは分かったけど、足を取られて

動きづらいよチミと絨毯くんに文句を言いたい。

『しょうがねぇでやんすよ。』

って言ってるような気がしていっけない妄想は封印よ。

今日は絶対にそっちに走っちゃイカン!

今後の未来が今日に決まるんだから我慢よ。

慌てて現実に戻った間際足元がヨロけた。

うおっうっと声を上げそうになってお嬢様の転び方を

取得するべきだったと真顔で思った。

人はまばらだからあまり目立たないところだし、

大丈夫だろうとタカをくくってた。

よしっ、転べそして立ち上がれと思ってたら、

グイっと腕を引っ張られて引き寄せられた。

いきなりのことでうおっとも言えなくて、

とりあえず転べなかったことにこんちくしょうと思った。