煌びやかな世界で全然落ち着かない。

人がすでにたくさん来てて蕁麻疹出るんじゃないかと

思うぐらいに背筋が凍った。

でも、大和さんはそういう配慮も気付いてくれるから

片時も離れず誰がどの会社の重役だとかっていうのを

小声で説明してくれた。

来る前の資料にも顔写真とどこの会社の人だかっていうのは

事前に聞いてあったけどここに来ても説明してくれるから

出来た秘書だよと関心してた。

「日和様、会長は今日出席出来ないそうです。」

「そっか、じゃあ、例の秘書も来ないようね。」

っち!あの電話は何だって言うんだ!

牽制取ったつもりなのね!

「その件で、日和様に調べるよう言われた名前の秘書

はやはり在籍しておりませんでした。」

「やっぱりそうか。」

「検討ついておりましたか?」

「ううん、何となく勘でね。」

「そうですか、再度そちらの件は私が責任を持って調べます。」

「ありがとう、助かるわ。」

やっぱり、あたしにはこういうパーティー合わない。

これだったら一昨日の誕生日会の方が良かったな。

今日はみんな学校だっただろうな。

春休みのピクニック計画を慶詩は言っただろうか?

「日和様、ご挨拶のお時間が参りました。」

挨拶するまではご飯抜きでようやくその時はやってきた。

前では社長の海斗さんが今日のパーティーの趣旨や、

ご来場してくださったお客さんに感謝の言葉を述べていた。

人前が苦手なわけでもない。

どっちかというと中学でも高校でも代表に選ばれることが

多くて緊張はするもののそんなに前に立てないほどではなくて、

こうなったからには堂々としてようと思う。

あたしが一ノ瀬の後継者だってことを知らしめる絶好のチャンス。

こうした度胸のある性格は100%母さんから受け継いだに違いない。

「行ってきます。」

「はい、待ってますよ。」

大和さんに見送られて海斗さん紹介で前に立った。

キラキラしたシャンデリアが辺りを照らし出す。

「ご紹介を預かりました・・・・・」

挨拶はパーフェクトで何一つ間違わなかった。

落ち着いて喋っていて海斗さん自身も驚いてた。

終わる頃には拍手をされて認められた。