Hurly-Burly 5 【完】


ひと通り好きなだけ叩かせていたら、

満足したのか胸の方に顔を埋めてみんなからの

視線から免れようとした。

「日和ちゃん、大丈夫?」

「いや、別に大した力でもないですから夏君の

気が済むのなら・・・楽しそうだったし。」

夏君がパッと顔を上げたり沈めたり愉快な赤ちゃんだ。

馨君、しかしあたしどうしたらいいのかね!?

こんなに小さい子の面倒見るのは初めてなんだが!

周りに小さい子が居ないもので分からないよ!!

「おー、夏希良かった。無事だったか!」

和服を身に纏った稜さんが額に汗を浮かべて、

入ろうとしてた部屋なのか障子から飛び出てきた。

伊織君父もヘラっと笑いながら登場してココちゃんの

寝顔を見てるとニマニマ笑ってた。

「なっちゃんは好奇心旺盛だからな~」

最早、未来のちぃ君と伊織君を見てるような気がする。

「あわわっ、本日はお招き誠に光栄にございます!」

ぺこりとお辞儀をすると稜さんと伊織君父が

豪快に笑う声が聞こえた。

「そんな畏まらなくてもいいからな。」

「いえ、そういうわけには行かないのです!」

稜さん、着物着るんだ!

すごい美しさを引き立てさせる服装だわ。

本当に綺麗な人だと思うんです。

鼻から血が流れそうなほどかっこ良すぎる。

「夏君、お父さんが居ますよ。」

顔を上げると夏君が稜さんを指さしてきゃふきゃふ笑った。

一体、どんな睨めっこしてたんだ!

「夏希、日和ちゃんが大変だからおいで。」

手を広げる稜さんに夏君がそっぽを向く。

「な、なっちゃん!」

稜さんが赤ちゃんに振り回されてる。

「夏君、お父さんに抱っこしてもらいましょうか?」

きゅふっ笑う夏君が満面の笑みを浮かべた。

万歳をする夏君が言うことを聞いてくれた。

それにビックリする稜さん。

「えっ、日和ちゃん。夏希に何かした?」

「いえ?」

どうかしたんだろうかと思いながら、

夏君を稜さんに引き渡すと稜さんの腕の中で

胸板をペチペチ叩いてすぐに面白くなかったのか

ぷいっと稜さんからそっぽを向いてしまった。

な、何てマイペースな赤ちゃんなんだ!?