ひと通り好きなだけ叩かせていたら、
満足したのか胸の方に顔を埋めてみんなからの
視線から免れようとした。
「日和ちゃん、大丈夫?」
「いや、別に大した力でもないですから夏君の
気が済むのなら・・・楽しそうだったし。」
夏君がパッと顔を上げたり沈めたり愉快な赤ちゃんだ。
馨君、しかしあたしどうしたらいいのかね!?
こんなに小さい子の面倒見るのは初めてなんだが!
周りに小さい子が居ないもので分からないよ!!
「おー、夏希良かった。無事だったか!」
和服を身に纏った稜さんが額に汗を浮かべて、
入ろうとしてた部屋なのか障子から飛び出てきた。
伊織君父もヘラっと笑いながら登場してココちゃんの
寝顔を見てるとニマニマ笑ってた。
「なっちゃんは好奇心旺盛だからな~」
最早、未来のちぃ君と伊織君を見てるような気がする。
「あわわっ、本日はお招き誠に光栄にございます!」
ぺこりとお辞儀をすると稜さんと伊織君父が
豪快に笑う声が聞こえた。
「そんな畏まらなくてもいいからな。」
「いえ、そういうわけには行かないのです!」
稜さん、着物着るんだ!
すごい美しさを引き立てさせる服装だわ。
本当に綺麗な人だと思うんです。
鼻から血が流れそうなほどかっこ良すぎる。
「夏君、お父さんが居ますよ。」
顔を上げると夏君が稜さんを指さしてきゃふきゃふ笑った。
一体、どんな睨めっこしてたんだ!
「夏希、日和ちゃんが大変だからおいで。」
手を広げる稜さんに夏君がそっぽを向く。
「な、なっちゃん!」
稜さんが赤ちゃんに振り回されてる。
「夏君、お父さんに抱っこしてもらいましょうか?」
きゅふっ笑う夏君が満面の笑みを浮かべた。
万歳をする夏君が言うことを聞いてくれた。
それにビックリする稜さん。
「えっ、日和ちゃん。夏希に何かした?」
「いえ?」
どうかしたんだろうかと思いながら、
夏君を稜さんに引き渡すと稜さんの腕の中で
胸板をペチペチ叩いてすぐに面白くなかったのか
ぷいっと稜さんからそっぽを向いてしまった。
な、何てマイペースな赤ちゃんなんだ!?

