Hurly-Burly 5 【完】


帰りはやっぱりターヤンさん運転でサユの家経由の

ルートで送ってもらった。

サユの家前でいいですと言ったけど駄目っと却下された。

「では、失礼します。おやすみなさい。」

車からスッと降りると馨君がキョトンとした。

「馨君、今あたし転ぶだろうなと思った!?」

「あ、ごめんね。」

「ううん、でも、あたしドジっ子じゃないから心配しないでね!

ただ、落ち着き無いからドジばっかり踏むアホな子になりつつ

あるけど、本来のあたしはもう少しおしとやかなのですよ。」

「馬鹿いってんじゃねーよ。」

「慶詩に馬鹿って言われたかないよ!」

「オメェがアホ丸出しみてーなこと言うからだろうが。」

「なっ!あたしだって本気を出せばおしとやかなレディーに

なれるんだからな今に見とくんだな!!」

絶対に後悔させてやるからな。

将来はきっとあっと言わせる女になってやる。

もう後には引けない戦いを前に控えてるから。

どうにか、引き伸ばせないかなって思ってるあたしは

やっぱり往生際悪いかな?

もしかしたら、次会う時から口聞けなくなるかも

しれないとか立場って関係を気にしなくちゃならないとか

ネガティブスイッチは非常に危険だった。

この発表はまだ上流階級の人を集める明後日のパーティーだけで、

報道機関は絶対に入れないことになってる。

だから、早くても今年の夏までは引き伸ばせる。

真実を告げる準備期間を与えてくれただけまだいいのかもしれない。

みんながあたしの正体に気付く日が来たらもう二度と戻れない。

「日和ちゃん?」

「あ、あのね、」

何言ってんだろ引き止めるようなこと言ってどうするの?

「どうしたの?」

馨君が微笑んでる様子が暗闇の中でも分かった。

「あたし、初めてだったよ。サユや永瀬家で毎年誕生日

お祝いしてくれるけど、たくさんの人に誕生日祝って

貰うの初めてで今日嬉しかったんだ。」

だから、改めて思ったことがある。

これだけは、あたしの本音だから受け取って。

嘘付いてるあたしの最大限の本心。

「ありがとう、お友達になってくれて。」

こんなに笑った日はないから感謝を込めて。