どうも、誕生日プレゼントに何を買ったらいいのか
分からずそれでもあたしを驚かすようなものがいいなと
企んで知り合いの花火師にいろいろ頼んでみたという。
「そんなに気を使わなくても良いのですが。お気持ちだけで
十分嬉しいですし、ご苦労様です。」
「まぁ、日和ちゃんには本当に頭が上がらないほど
助かってるからさ気にしないでよ。」
あたしが何をしたと言うんだろうか!?
そんな感謝されるようなことをした覚えはない。
結局、浜辺に来て花火を本当に打ち上げた。
迷惑行為をしてるわけではないし、ちゃんと
場所を選んでプレゼントしてくれたというところを
見ると2人は大人で常識人だと思った。
不良メンバーズもわんさか花火を楽しんでた。
花火からパラシュートを広げて地上に降り立った
クマさんを見た瞬間目を輝かして拾いに行った。
今時、こんなにも優れた花火があるのかと思って
砂まみれになったクマさんを救出したのだった。
「あ、あの、どうもありがとうございました!!
この度はナル君と一緒に誕生日を迎えられて
とても楽しかったのです。」
あたしの声が浜辺に木霊する。
波の音がザッザっとして月明かりが水面を照らし出す。
水平線の先はずっと広がる水面。
今日一日のことがあたしの原動力になる。
こんなに楽しい1日をプレゼントしてくれてあたしは
長生きして良かったと思う。
「何改まってんだよ。来年もやろうな!ほら、1ヶ月後は
もう2年生になっちまうんだぜ?すげーよな」
「そうだぜ、ヒヨリンまだまだこれからだぜ!」
「ひーちゃん、春休みも遊ぼうな!!」
春って季節は四季の中で一番好きな季節だ。
あたしが生まれた季節で、四季さんがあたしの前から
居なくなった季節でもある。
寂しいと思ったことはないと思う。
ただ、春って季節はいつもどこか四季さんを探すような
気持ちで居たから夢でも探し続けてようやく見なくなった。
多分、本当は寂しいって気持ちを上手く隠していたんだと思う。
思ってないよって気持ちで誤魔化して正当化しようとして、
余計面影を探しては春のせいだって決め付けてた。
「うん」
でも、今はそれも変わってきているような気がする。

