「あんたって本当に曲がり角がないわよね。」
「そうかな?捻くれる時は捻くれるよ。」
「知ってるわよ、日和のこと一番知ってるのはあたしなんだからね!」
サユがムッとするのを見てやっぱり可愛いなと思った。
サユは美人なんだけど、性格は可愛いんだ。
「当たり前だよね。サユのこと一番知ってるのもあたしだもの。」
むふふっと笑うとべしっと額を叩かれた。
マコ君にだって譲りたくないもの。
その立場は一生あたし以外認めないよ。
「仲いいんだね。」
馨君がふんわり笑ってあたしとサユを交互に見た。
「あのね、100歩譲ってるんだからね。
日和にこれ以上近づいてあたしのポジション狙ってるなら
抹殺してやるわよ。」
「さーちゃん、そんな心配要らないと思うんだが。」
「何か、気に食わないのよ!」
「why!?」
「もし、何かされたらあたしに言うのよ。瞬殺してやるわ。」
「ノーセンキュー!」
何もされやしないと思う。
瞬殺させるわけにはいかんだろうよ。
「大体、あんた鈍感じゃない!」
「鈍感じゃないよ!!」
「言ってなさいよ。」
さ、さーちゃん、酷いであります。
「サユ、何か調子出てない?」
「そうね、今日は気分がいいわ。」
夜の校舎は忽ちサユの逞しさに陰気さを
緩やかにぶち壊していった。
その後も何かを悟ったサユはこの調子で
そんなサユの言葉にナル君も笑ってた。
今ひとつ分かったことは、あたし以上に
サユは逞しい存在であるということだ。
これは、どうもみんなも同調してくれたと思う。
お化けなんてサユを恐れてあの世にお帰りして
くれたに違いないほど何もなかった。
「っで、花火なんてのをこの時期にやるなんて
可笑しいんじゃないの?」
校舎を出てすでに停まってた車に乗り込んで
サユがそう口にした瞬間に対応係となった助手席の
やっちゃんさんはわざわざ海にまで行くから危険じゃないと
いうことを説明してこれは前からの予定だったんだよって
話までしてくれた。

