不良メンバーズが素早くお部屋の片付けを始めた。
それを見て瞬かせる瞳にヒヨリンは先に行ってて
いいからなと声を掛けてきたよっちゃんが逞しく見える。
成長しつつあるのだなと感動しているとナル君が
あたしの手を取って部屋を後にした。
何が何だかさっぱりなあたしに近くに居たサユが、
何あるんだろうねと聞いてきた。
どうやら、サユもこればっかりは知らないらしい。
馨君が居るから絶対に常識範囲内ではあると思われる。
京君も居るわけだから無茶をするようなら止めてるはずだ。
暗くなった校舎は肝試しのようだった。
ナル君が腕にしがみついてくるから相当怖いらしい。
暗いところ駄目って言ってたから何かないかなと思って、
最近師匠をモデルに撮影した写真をナル君に見せた。
ケータイの明かりのお陰かナル君がケータイ画面に凝視してる。
それを見て馨君がにっこりと笑みを浮かべていた。
「師匠、ここでうたた寝するのが日課なんですよ。」
「可愛いな!」
「はい。でも、師匠可愛いって言うと怒るんです。
わいは男なんやからそない恥ずかしいこと言うんはやめんかって
うたた寝してるところをカッコイイと言う方が居るんでしょうかね?」
「ねっ、その師匠って何時から喋ってたのよ?」
サユが写真を見ながら可笑しくないと言ってきた。
「初めから?あれ、でも、兄ちゃんと喋ってるの見たのは
もう少し後からだったかな・・・うむー、分からん。」
「あんた、すごい馴染んでるじゃない。」
「うん、だって家族だし、兄ちゃんのマブダチだもの。
サユは師匠のこと変だと思うのか?」
確かに喋るオカメインコなんて珍しいかもしれないけど、
可愛いんだよ家の師匠はとっても。
気味悪がられたことがあんねんって言ってた師匠が
人の前で喋るのは勇気の要るものだった。
「変だとは思わないわよ。あんたと居ると大概驚かされる
ことは多いから慣れたし、か、可愛いとは思ってる。」
「さーちゃん、可愛ーい」
「あんたね!」
デレのサユちゃん頂きました。
「物事の本質っていうのは深く関わらないと見えてこない。
師匠がお喋りで寂しがり屋なところだって同じで、
さーちゃんがツンデレさんで可愛いってここと同じように、
神様じゃない限りそんなの分かりっこないんだよ。」
だから、最初っから決め付けるのは良くないんだって教えてくれた。

