これ、何かの罠とかじゃないだろうな!!
「ほら、貸してみなさい。まぁ、これぐらいなら
あんたでも付けられそうじゃない?」
ひよこのバレッタをサユがあたしの髪に付ける。
チューリップの鏡を向けられて移る自分の姿に
目をパチパチ瞬かせる。
「か、可愛いよ!このひよこさんあたしのポーカーフェイスを
上手くカバーしてくれてるんではないかね!!」
「そうね、良かったじゃない。」
「うっ、うむ。あのね、ありがとう。とても嬉しいし、
これは大事にする!うひひっ」
日用品に使えそうなものを選んでくれたんだと思うと
大事に使わなくちゃと思えた。
良かったって笑う馨君に一安心する京君、伊織君も
ナル君とハイタッチしてる。
ちぃ君も心なしか笑ってるように見えた。
慶詩とユウヤにも後でお礼を言わねばと思いながら、
プレゼントを鞄に入れてる途中で忘れかけてた品を手に取り出した。
「ナル君、お誕生日おめでとう!大したものではないけども、
夜なべしたお母ちゃんのような気分で作ってまいりました。」
ラッピングしたプリン味のクッキーを渡すとナル君が
とびっきり可愛く笑ってありがとうと言ってくれた。
それを見て、安心して再度フライドチキンに手を伸ばした。
「うん、でも、やっぱりそれ日和に似合うわね。」
サユの視線に照れてフライドチキンをモリモリ食べた。
照れ隠し驚異の食欲を発揮した。
あんた食べ過ぎよってサユに文句言われた。
でも、気にせず平らげた。
残すのは勿体無いと思ってペロッと胃袋に収めた。
お腹減っていたのも手伝ってだと思う。
ケーキも買ってきたようで本当にあたしの分はなかった。
その後、散々不良メンバーズに付き合わされた。
いろいろやってたと思う。
よっちゃんが本当に弄られていたし、ももっちに
散々からかわれているよっちゃんに逞しく生きて欲しいと願った。
あんまりにも1日が楽しいことだらけであっという間だった。
「おいっ、花火やんぞ。」
気付けば、慶詩のその呼び掛けに時計を見るともう21時前だった。
えっ!?
花火すんのか!?学校の敷地でそれはマズイだろうよ。
用務員のおじさんがビックリしちゃうだろうよ。
でも、確かに誰かが打ち上げ花火やるか的なこと
言ってたような気がする。

