聞いていたけど、その弾けんばかりの笑みを
前にドキドキが再来して心臓が異常な動きを見せている。
こ、これは、俗に言う不整脈!?
きっと、疲れが溜まっているのね。
ここ最近、何かと忙しくしていたのだから休息が
必要だと体が訴えているに違いないわ。
「ヒヨリン、大丈夫か?」
な、ナル君、あたし早退するべきかもしれんよ!
「俺らが最後みたいだから心の準備しておかないとだな。」
確かに、廊下にはもう誰か居る気配はない。
部屋のドアの前でひと呼吸する。
ナル君はワクワクした顔をして今か今かと待ち構える。
たった今からびっくり箱を開けるみたいな気持ちになる。
さっきの飾り付けとか見たけども、しばらく居ない内に
また何かしてたのかもしれない。
ナル君の手は未だにギュッと握られている。
「よ、よしっ、ナル君いざopen the door!!」
あたしがそう言うと、ナル君は可愛く笑みを浮かべながら、
ドアノブに手を掛けて思いっきり開いた。
「「「ナルさん、ヒヨリン、誕生日おめでとうございます!!」」」
部屋にまだ入ってないにも関わらずクラッカーの餌食になった。
それはもう顔面に向かってきたに違いない。
ナル君を守るために前に出ていたあたしに勢いよく
飛んできたクラッカーの紐やらがあたしの顔にまとわり付く。
こんな至近距離で噴射されるとは誰も思ってない。
危険行為だと思える、もしも、あたしの顔面が驚き過ぎて
顔面が崩れたらどうしてくれると言いたいところだ。
だけど、あたしの顔面はそう簡単に崩れなかった。
「わあ、驚いた!」
一応、声的には驚いてるし心の底から驚いてる。
「全然、驚いてるように見えないよヒヨリン。」
誰かが確かにそう言ってた。
不良メンバーズの会員番号何番か分からんヤツだと思う。
「いや、驚いてる。顔面がとても酷い状況だ。
これはイジメか!?みんなしてあたしの顔面を
ミイラ化しようと企んでるのか!?」
だけど、本当はすごい驚いてる。
そう見えないのは多分あたしの顔面がクラッカーの餌食
で悲惨なことになってるからだと思って欲しい。
部屋の扉を開けた瞬間からいい匂いが漂ってきてた。
飾り付けもグレードアップしててキラキラして見える。

