Hurly-Burly 5 【完】


そんなことナル君言っちゃ駄目よ。

慶詩に笑いものにされちゃうよ。

嬉しいけどもさ、女の子にしか見えないとか

言われたことないもの小躍りしたいぐらいだけどもさ。

「やっぱり、俺もっと頑張るな!」

えっ!?

今、何と仰言いましたか?

Pardon?

ふぬっと闘志を燃やすナル君を凝視する。

「俺、少しずつでいいからヒヨリンに好きになってもらうんだ!」

甘すぎる匂いと言葉にクラクラしてきた。

この子は何でこうストレートなんだろうか!?

そして、意気込みながら可愛く笑顔を作る。

もしも、あたしが男だったら確実に押し倒してたぜ。

「な、ナルく」

「ヒヨリンが好きになってくれるの待ってる。」

子犬みたいに可愛く待てをするナル君に

ドキドキが加速して鼻血を吹き出しそうになった。

こんなこと経験したことがない。

今までの経験上、自分がちゅ、ちゅーされるのは

あの小さい子を含めるとこの度3回目であります。

ナル君とは文化祭前に接触事故があったものの、

あれからちゃんとナル君は男のこと言い聞かせてきた

のに隙をつかれてしまった。

「ほら、ヒヨリン行こう?あ、でも今の内緒な。」

満面の笑みを浮かべるナル君に思考が置いてきぼりを食らう。

「what!?」

「返事はまだ要らないからこれで少し意識してくれたか?」

ナル君の作戦にしてやられた。

可愛いナル君は時々男の子に変貌する。

「わわっ!」

「ヒヨリン、可愛い。マジで、好きだ。」

もうや、やめてくれ!

あたしには勿体無きお言葉の数々に人類の皆様に

土下座して腹踊りを披露した方がいいかもしれない。

いつもの部屋に着くまではやっぱり手を繋がれて、

非常にドキドキして口から心臓が飛び出るのは時間

の問題だと頭の中でお経を唱えていた。

もう、あたしの精神が乱れきってる。

平然を取り戻さねばならんのだ!

ナル君は隣でいつもどおりに可愛い笑みを浮かべながら、

誕生日会の話を盛り込んでいた。

お経を唱えつつ嬉しそうに話すナル君にあたしも嬉しいな

と思ったので話はずっと聞いていた。