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ボス戦攻略に勤しむあたしとサユに声が掛かった時は、
丁度ボコボコにボスに止めを刺している時だった。
2人揃ってゲームに熱中してて全然気付かなかった。
「日和ちゃん、サユリちゃんどうかな?」
馨君がにっこりと微笑みながらボス戦どうにかなりそう?っと
聞いてきてあたしは今までの対処についてを熱く語りたくなった。
でも、顔を上げた瞬間目に飛び込んでくる光景にビックリして
思わず目ん玉がこぼれ落ちるのではないかと目を押さえた。
眩しすぎて直視出来ないじゃないか。
ううん、違うな。この飾り付素敵過ぎる。
あたしも一緒に飾り付したかったけど、不良メンバーズが
和気藹々とやってるところ見てあたし仲間はずれにされた
気になってたけど今の光景見たらそんなの忘れた。
「す、素敵だね!ひよこさんもあるね!」
不良の巣窟に似合わないポップな飾り付けに
何だか胸の奥がポカポカした。
「ヒヨリン、こういうの好きだろ~?」
ユウヤが脚立を隣の部屋に片付けながら声を掛けてきた。
「うん、好きだとも。」
誕生日会っていつもこんな感じじゃない。
もっと、質素な感じでそれでもケーキ食べるのが
絶対条件みたいな感じだったのにこれはおったまげた。
「もう少ししたら買い出し組帰ってくると思うよ。」
馨君がそれまでは何か残ったメンバーが校内で
鬼ごっこするから行ってきたらと笑みを向けられた。
「い、行く!」
今度こそと思ってソファーから立ち上がるとよっちゃんと
ももっちたちの集団から手招きされた。
やっと、遊んでもらえると思うと嬉しくなってそれでも
飾り付を頑張ってくれたであろうみんなには感謝しなくちゃ
だと思った。ありがとうって言葉を伝えるとみんな照れくさそう
に早く鬼ごっこしようぜと校内へ出動した。
鬼はいつものよっちゃんでももっちと一緒に隠れながら
追いかけられて特別な日なのかもしれないけどいつも
と変わらない日常で安心した。
こんな日々がずっと続けばいいのにって思いながらも、
確実に全部をこれから心が挫けないように刻み込む。
茜色に染まった空がいつにも増して綺麗だと思った。

