Hurly-Burly 5 【完】


***


ボス戦攻略に勤しむあたしとサユに声が掛かった時は、

丁度ボコボコにボスに止めを刺している時だった。

2人揃ってゲームに熱中してて全然気付かなかった。

「日和ちゃん、サユリちゃんどうかな?」

馨君がにっこりと微笑みながらボス戦どうにかなりそう?っと

聞いてきてあたしは今までの対処についてを熱く語りたくなった。

でも、顔を上げた瞬間目に飛び込んでくる光景にビックリして

思わず目ん玉がこぼれ落ちるのではないかと目を押さえた。

眩しすぎて直視出来ないじゃないか。

ううん、違うな。この飾り付素敵過ぎる。

あたしも一緒に飾り付したかったけど、不良メンバーズが

和気藹々とやってるところ見てあたし仲間はずれにされた

気になってたけど今の光景見たらそんなの忘れた。

「す、素敵だね!ひよこさんもあるね!」

不良の巣窟に似合わないポップな飾り付けに

何だか胸の奥がポカポカした。

「ヒヨリン、こういうの好きだろ~?」

ユウヤが脚立を隣の部屋に片付けながら声を掛けてきた。

「うん、好きだとも。」

誕生日会っていつもこんな感じじゃない。

もっと、質素な感じでそれでもケーキ食べるのが

絶対条件みたいな感じだったのにこれはおったまげた。

「もう少ししたら買い出し組帰ってくると思うよ。」

馨君がそれまでは何か残ったメンバーが校内で

鬼ごっこするから行ってきたらと笑みを向けられた。

「い、行く!」

今度こそと思ってソファーから立ち上がるとよっちゃんと

ももっちたちの集団から手招きされた。

やっと、遊んでもらえると思うと嬉しくなってそれでも

飾り付を頑張ってくれたであろうみんなには感謝しなくちゃ

だと思った。ありがとうって言葉を伝えるとみんな照れくさそう

に早く鬼ごっこしようぜと校内へ出動した。

鬼はいつものよっちゃんでももっちと一緒に隠れながら

追いかけられて特別な日なのかもしれないけどいつも

と変わらない日常で安心した。

こんな日々がずっと続けばいいのにって思いながらも、

確実に全部をこれから心が挫けないように刻み込む。

茜色に染まった空がいつにも増して綺麗だと思った。