Hurly-Burly 5 【完】


side:もっくん



買い出しチームとして学校から出てきたわけで、

千治さんがさっきからケーキ屋ばかりにへばりつく。

それを京さんが引っ張り歩いている。

何でこのメンバーなのかそこで理解した。

伊織さんは煙草を咥えながら女の子をナンパしてる。

制服姿で堂々と煙草吸ってたらひーちゃんが

注意してきそうなところだ。

他に来た仲間内で担当を決めて買い出しには出かけた。

あの人たち、何のために来たんだ。

「あ、もっくん、わり~ね」

「気にしないで下さい。」

伊織さんが指差して向こう行ってくるわと

言いながら千治さんと京さんも一緒に消えた。

何か、買い物あったかなと思いながら吸い込まれるように

入っていく3人のお店の外観はメルヘン。

あんなところで買うものなんてあったかと

思考を巡らせてみてようやく気付いた。

気付いて初めて可笑しすぎる光景に笑った。

あの人たちが、あんな店入るなんて見たこともなかったな。

京さんは女の人が居るところ行くの絶対になかった

はずなのに近寄ろうとする女は伊織さんが全部引き受けて

ある意味チームプレイだ。

千治さんは店内を見渡しながらお菓子の絵が書かれている

ヤツを手に取るばかりだ。

京さんに至ってはひよこの絵柄を重要視してるみたいだ。

やっぱり、慣れないことをしているにはそういう理由が

あったのかと思い知ると彼女はやっぱりすごい子だなと思った。

多分、彼女以外には無理なことだと思う。

彼女は欲というものが全くない。

普通なら、これが欲しいとか言うものだと思う。

俺の知ってる知人の女は友人に貢がせてたりと、

欲だらけのヤツは何人も知ってる。

だけど、彼女はこれが欲しいと言ったりしない。

我慢してるわけでも多分ない。

本当に欲がないからこそないってきっぱり言うんだろう。

だからこそ、彼女の誕生日会は盛大に開く。

ある意味、分かりやすい人たちなのかもしれない。