side:もっくん
買い出しチームとして学校から出てきたわけで、
千治さんがさっきからケーキ屋ばかりにへばりつく。
それを京さんが引っ張り歩いている。
何でこのメンバーなのかそこで理解した。
伊織さんは煙草を咥えながら女の子をナンパしてる。
制服姿で堂々と煙草吸ってたらひーちゃんが
注意してきそうなところだ。
他に来た仲間内で担当を決めて買い出しには出かけた。
あの人たち、何のために来たんだ。
「あ、もっくん、わり~ね」
「気にしないで下さい。」
伊織さんが指差して向こう行ってくるわと
言いながら千治さんと京さんも一緒に消えた。
何か、買い物あったかなと思いながら吸い込まれるように
入っていく3人のお店の外観はメルヘン。
あんなところで買うものなんてあったかと
思考を巡らせてみてようやく気付いた。
気付いて初めて可笑しすぎる光景に笑った。
あの人たちが、あんな店入るなんて見たこともなかったな。
京さんは女の人が居るところ行くの絶対になかった
はずなのに近寄ろうとする女は伊織さんが全部引き受けて
ある意味チームプレイだ。
千治さんは店内を見渡しながらお菓子の絵が書かれている
ヤツを手に取るばかりだ。
京さんに至ってはひよこの絵柄を重要視してるみたいだ。
やっぱり、慣れないことをしているにはそういう理由が
あったのかと思い知ると彼女はやっぱりすごい子だなと思った。
多分、彼女以外には無理なことだと思う。
彼女は欲というものが全くない。
普通なら、これが欲しいとか言うものだと思う。
俺の知ってる知人の女は友人に貢がせてたりと、
欲だらけのヤツは何人も知ってる。
だけど、彼女はこれが欲しいと言ったりしない。
我慢してるわけでも多分ない。
本当に欲がないからこそないってきっぱり言うんだろう。
だからこそ、彼女の誕生日会は盛大に開く。
ある意味、分かりやすい人たちなのかもしれない。

