said:紗友梨
日和は渡されたゲームと真剣に向き合ってる。
目をキラキラさせてゲーム機を握っている日和を
見てると本当に楽しそう。
「っで、紗友梨姐さんはどうすっか?」
「いや、あたしの方が年下だし。」
流石に、もう一年近くともなればそれなりに
理解は深めてるものかもしれないわね。
「まぁーな、とりあえず、そっちのチビっ子は
当分ボス戦で付きっきりだろうからこれで暇じゃねえだろ。」
「慶詩さん、こっちっす!マジで、人員不足っす。」
「水谷さん、こっちのがピンチっすよ。」
金髪の髪を掻きながらわったよと声を掛ける。
「この子の隣でそのボス戦観戦してるわ。」
フッと笑みを浮かべて日和の隣に座り直した。
「あー、そうしてくれっと助かるわ。」
多分、この男とまともに話したことなんて
ほとんどなかったと思う。
それでも、一年前に比べると柔らかくなった。
冗談交じりに会話する日が来るとは思っても見なかったけど、
あの子に関わるとみんなこうなのよ。
「ぎょええええええ!!なんと!そんな技繰り出してきやがったか。」
たまに、どうしてこの子にそんなこと出来るのかなって
思ったりもするのよ。
「ぼ、ボス、卑怯者だ!コヤツ、逃げおった・・・」
でも、この子だからこそ出来ることなんだとも思う。
結局、日和は人の心を簡単に動かせる子なんだ。
簡単ではないかもしれないけど、日和は恐れを
知らないから人の気持ちを考える優しい子なんだ。
そのまま、受け止めてあげるから日和が居るだけで
心強いとさえ思える。
どんなに探したってあたしの親友よりすごい子は居ないわ。
「ちょっと、日和貸してみなさいよ。」
「さ、さーちゃん、あたし負けそうだよ。危ういさね・・・
このボス手強いよ。寧ろ、なんて憎たらしいのかしら!!」
「大丈夫よ、あたしとあんたなら楽勝で倒せるわ。」
笑みを浮かべる日和を見て心の底から願う。
誰かこの子を幸せにしてあげて。
無茶ばっかりして損ばっかりなこの子が本当に
心から笑えるこの場所をあたしも気に入ってるの。

