こんな小娘の使いっぱしりで大和さんは良いのかしら?

『日和様なら当日お渡ししても覚えて挨拶出来ましょう。

ですが、心の準備も兼ねて挨拶文はメールの方にて

添付しておきましたのでご確認の上訂正がありましたら

お手数ですが日和様に委ねます。』

それなのに、あたしを信用してくれてる。

あたしと大和さんの関係は本当に簡単には壊れない。

それほど、強い信頼関係を持っている。

「分かりました、拝見致します。でも、挨拶って

大勢の前で大丈夫かな?」

『出来ますよ。日和様なら立派なご挨拶になります。』

「大和さんって煽て上手だよね。」

『そんなことありませんよ。私は貴女の秘書です。

私は貴女に出来ないことはないと思っています。

貴女が煩わしいと思うことは私が全て片付けましょう。

この先の生涯貴女以外に仕える気はありません。

それが私の最上級の貴女への敬意です。』

「大和さん、演説でもする気かね?」

もうドキドキしてしょうがないぞ。

君というヤツはなんてことをサラッと言ってしまうんだ!

大人だからってからかってるんだろう!

『日和様、少し緊張ほぐれましたか?』

もう本当に何で分かるかな。

「ありがとう大和さん、貴方の期待を裏切らない立派な挨拶

してみせるから任せといてね。」

『ええ、楽しみにしてます。』

大和さんとの連絡を終えて、パーティーの招待状を

見て少し憂鬱な気分になった。

ジョセフィーヌが膝の上に乗ってきて甘えてくる。

しかし、今の日本の経済事情やら調べておかないとだわ。

社交の場であたしだけが浮くという事態を引き起こしたり

しないようにしないと伯父様の顔に泥を塗ることになり兼ねないわ。

パーティーは立食だって大和さん言ってたな。

ガツガツ食べたらさすがにマズイよねー。

マナーは小さい頃から大抵やっておいたから今更心配要らない。

誕生日の日にパーティーとはツイてない。

毎年、永瀬家でお祝いしてくれたのにな。

パソコンの挨拶文を眺めながら16歳になったら、

新たな自分と向き合いたいと決意を固めた。