とりあえず、日和ちゃんがいつもどおり妄想してる
ことが俺らの変わらない日常なのかもしれない。
彼女は、闇を吹き飛ばす光だ。
「お、おじさんっ、にゃ、にゃんこがにゃんこが奇襲だ!!」
切羽詰った日和ちゃんの声が響く。
「アイツ、何やってんだ?」
「ヒヨリン、何か困ってねぇか!?」
慶詩とユウヤが日和ちゃんに釘付けになってると、
ナルが飛び出して行った。
ユウヤもナルに続いて日和ちゃんのところへ駆け出した。
「なぁ、アイツ何隠してると思う?」
慶詩がこちらの方に視線を向けてきた。
「・・・・・・どっかでセーブしてる。」
京が付け加えるようにまるで線を引いてるみたいだと言った。
「さぁ~ね、頑固ちゃんだからそう簡単に言わねえ~よ。
けどな、スマートなもんよ。自分には頼れと散々言うくせに
自分のことになると何も言わねえからな。」
日和ちゃんは何か隠してる。
当然、信用を得たかどうかは日和ちゃんの問題だ。
信用されてないかもしれない。
でも、あの強さに垣間見る儚げな空気がある。
手首を握っただけで折れてしまうような。
どこか、脆くて繊細で吹き消せば簡単に消える
ような危うさを秘めている。
あの、サユリちゃんさえそれを語るのだから
身近で接するたびにヒシヒシ伝わってくる。
「日和ちゃんのお兄さんも意味あって預けてくれた
んだとするとあんまり詮索しない方がいいのかもしれない。」
何をどう調べたって日和ちゃんの情報は厳重で
学校に提出された情報のみしか掴めない。
裏を返せば、知られてはマズイ情報があるから
厳重にロックがかかってる思ってる。
「猫が集合してる・・・・・・・」
千治の間抜けな声に慶詩が今の場面でそれはねぇ!!と
ツッコミを入れると千治が叩かれた頭を摩った。
「うおーい、ぎゃふっね、猫パンチ繰り出してきた!
って違う!チミたち、長話終わった?おじさんが
作った大学芋食べたら早速勉強会再開しますよ。」
あんまり、心配しすぎるのは確かに振り回されすぎるかもしれない。
心配に及ばずとも日和ちゃんはかなり強い。
それでも、もし困ったことがあったら力になってあげよう。
その前に、彼女にはしっかり女の子だってことを自覚してもらいたい。