それより、伊織よく分かったよな。

日和ちゃんに着いてたヤツ雑魚ばっかりだって

言ってたのはお前だったよな。

「ひ、ヒヨリン、狙われてんのか!?」

ナルがたい焼きを太ももに落とした。

「狙われてるってのか?よく分かんねえーよ。

手出しはすんなってのが上の命令だって方針らしい。」

伊織、お前どうやって聞き出したんだよ。

あんなに口閉ざしてたのを何したんだ。

「えっ!?ヒヨリン、可愛いから好かれたかもしれねぇ

じゃんか!!可愛いっからヒヨリン攫われちまうんじゃねえかな?」

「ナル、オメェだけだろーが!!可愛いだとどこがだ。

さっきの聞いてたろうが、クソ生意気なこと言ってやがったんだ。

俺様に馬鹿と言いやがった。チビのくせにだ!」

「慶詩は絶対にヒヨリン好きになるなよ!」

「頼まれたってならねえよ」

「おいおい、そこで喧嘩してる場合じゃねぇだろ。」

どういう話になってんだよ。

ここ最近、仲良くやってたよな。

「・・・・・・ひよこ、呑気」

京の視線を辿るとそこに日和ちゃんが居た。

俺たちが今こうやって話し合ってることを知らないだろう

日和ちゃんは店の店主と楽しげに話してる。

日和ちゃんはいつもまっすぐぶつかってきてくれてんのにな。

守ってくれとは絶対に言わねぇから俺たちには、

日和ちゃんを目に見える守り方はしない。

だから、コソコソしたやり方ではあるが日和ちゃんに

気づかれないようにやってきたつもりだ。

それを気づいてるんだとしたらもう少し慎重に

ならなきゃならないかもしれない。

「南と手を組む話が上がってる。」

今まで日和ちゃんから目を離さなかった千治が

一瞬目を逸らしてまた日和ちゃんを見つめた。

日和ちゃん、あんなに見られてるのに気づかないって

やっぱり気づいてねぇような気がする。

「はぁ!?」

ユウヤがたい焼きを机の上に落とした。

ナルと慶詩も言葉を止めて千治を見る。

「まだ、組むとは言ってない。そういう話を持ちかけられて

るってのは結構前からあった。」

俺と京はその場に居たことから知った。

伊織はその話を聞いてたから知ってた。

あの3人にはもう少し話が固まってからってこと

だったはずが、千治は顔色一つ変えずに話した。