そのあたしが分かってないと思ってる。
「あたし、怪我しても泣かないよ?」
「日和ちゃんは強いからね。」
「痛いとは思うけど痛い顔出来ないよ。」
だから、どうして涙を流してくれるんだろう?
今まで、気づいてくれた人なんて数えるぐらいしか居なかった。
どんなに頭が痛い日も平気な顔して1日過ごすことが出来た。
いつの頃か、そんなあたしが普通だった。
「うん、知ってる。だから、余計心配なんだよね。」
「何が心配の要因に繋がる!?」
「そういうところがもう全部。」
「ど、どうしたら、心配にならない!?」
「心配ぐらいさせて欲しいものだよ。」
馨君はピュアスマイルを繰り出してくると、
脱脂綿で消毒液を拭き取る。
「す、少しぐらいならいいよ。馨君が疲れない程度
なら許可をしてあげましょう。」
「ハハッ、ありがとう。」
「その代わり、あたしも心配する!」
「えっ?」
「大丈夫かなって思ってあげるよ。
だって、あたしよりも生傷絶えないの知ってるもん。
小さな傷でも大きな傷でも隠すの下手くそなんだよ。
あたしならもっと上手く隠してるわ。」
不良メンバーズなんて手当も雑なんだよ。
たまに、見兼ねて絆創膏あげるから不良が
動物柄の絆創膏を貼っつけてるって笑われてた。
「それにね、嫌のこと言われたりして心に傷負ってない
かなって思うこともある。痛いの痛いの飛んでけ~って
おまじないして吹き飛ばしてあげるよ!」
あたし、今ジョークみたいなつもりで言ったのに、
何で黙っちゃうかな!?
馨君は未だにクスクス笑ってる。
京君はそっぽを向いて表情が分からない。
ちぃ君はたい焼きをポテっと落としてすぐに
拾って叩いて食べている。
伊織君はスパスパ煙草を吸いながら頬に手を置いてる。
「あたし、魔術の本を世界中で探して呪文について
勉強してみようと思ってる。」
「日和ちゃん、いきなりぶっ飛んだね。」
絆創膏貼ると聞かれて自然治癒を目指しますと宣言した!

