Hurly-Burly 5 【完】


わざとだ!絶対にわざと押したに違いない!

「痛くねぇんじゃね~の?」

「痛かないよ!いだっいででで」

ちょいと、伊織君押しすぎ!押し過ぎであたしの肌がボコボコになる。

「・・・・・ひよこ」

「いや、伊織君押しすぎだから!そんなの痣が出来てないところでも

凹むペコペコ凹むからやめてええええ!」

やっぱり、伊織君は血も涙もない鬼だ。

鬼が背後でチラチラチラついてる。

「オメエさ、細すぎだろーよ。ちゃんと食ってんのか?」

あたしの手首を折ろうとしてるのチミだよね?

細くないよ、これぐらいだろうさね。

「よく食べるのご存知だよね?」

「・・・・・・どうなってんだオメェの体はよ」

あたしもよく分かっちゃいねぇぜ。

どんなに食べても太らないから肉欲しいさ。

「あはっ、でもこれであたしが女の子だって証明が

ようやくここで成し遂げられたぞ!身を呈して証明

出来たのだから良い結果ではないか。」

ちょっとは女の子だと理解できただろう!

不良メンバーズにもこれで力説してやろう。

「ひよこ、全然笑えない・・・・少しは」

「それ、どうしたのかな?」

ぎょえっと目ん玉が転がり落ちそうになった。

本日2回目のだんまりタイムがやってまいりました。

「誤魔化されてもいいかなって思ったけど、

まさか気づかないと思ったかな?」

ゴクリと呑み込むと馨君とフラフラやってきた

ちぃ君にヒシヒシと感じる手首への視線。

「こ、これはですな。」

「風間さんには次会った時二度と近づかないように

忠告しておくね。」

一体、何するつもりですか!?

馨君のブラックスマイルが何よりも怖い。

「それは、誰にやられたの?」

今しがた転んで出来た膝小僧の流血に馨君が真顔になる。

いつも笑ってる人が真顔になるとは恐ろしい。

「じ、自分ですっ転んだであります。」

馨君が心底呆れたようにため息を吐き出す。

妄想してて転んだことは明白だと思われる。

あたしドジっ子じゃないはずなのに!

ただ、落ち着きが無いのと空想に耽るでダブルパンチなわけだもの。