Hurly-Burly 5 【完】


何としても、2人の口封じをしておかねば!!

2時間サスペンスの犯人もきっとこんな気持ちだった

だろうな。あたしには今よく分かるわ。

「あ、押しちゃった~」

伊織君の馬鹿のせいで殺意が芽生えた。

『伊織?煙草吸いに行ったんじゃなかった?』

馨君だしね!!もう絶対に黙ってろよと伊織君を

見るとヘラヘラ笑いながら軽い口調でひよちゃんがね~っと

口走りやがった!!

瞬時に伊織君の口を塞いだ。京君が持ってる紙袋から

たい焼きを引っつかみ口に押し込んでやったのだ。

『伊織、日和ちゃんと一緒?』

ま、マズイことになったよ。今、あたしが口を開けば

一緒に居ることがバレてしまうではないか!

バレてもいいんだろうけど、何で電話してきたのって

感じになっちゃうじゃないかね。

「・・・馨、俺。ひよこも一緒だ、たい焼きは

買ったけど何か必要なものある?」

『そっか、京が一緒なら心配要らないね。たい焼き

買いすぎないでいいからな。ナルがプリン食べたいって

言うから買ってきてやってくれないか?』

「・・・・・・分かった。」

京君、あたしの腕の痕言うつもりがないのかな?

引っ張られてたあの日帰って風呂場で発見した

この手首の痕はあたしの色白の肌に青紫な手形を

残して薄くなってきていた今日この頃であった。

ケータイを切って伊織君にケータイを放り投げた。

空中を放物線を描くそれを見ていると伊織君の手に

綺麗に収まった。

「あーあ、京ちゃんったらひよこ姫が困るの見て

られないんでしょーよ。」

「・・・・・説明を聞いてから判断すればいい」

「でもさー、このお嬢ちゃん正直なこと話すつもり

ねぇーのよ?俺たちに隠し事よ、ひでえじゃね~の。」

伊織君が泣き真似をするものだからイラっとした。

なんてふざけた野郎だと怒り狂いたくなった。

自分だって隠し事多いくせにあたしのこと言えるのか!!

そんなこと言えるわけないけどさ、気にならないわけじゃない。

無理に聞いてもしょうがないって言い聞かせてる。

そんなあたしの気を知ってるか!?

もう、春は直にやって来るんだよ?