Hurly-Burly 5 【完】


京君、言った言葉で照れるって君というヤツはなんて

恥ずかしがり屋さんなんだね!

「ほれ、もう少ししたらたい焼き屋さんだろ~。」

「伊織君、少しは気遣えるのだな?」

あたしの今出来立てホヤホヤの膝小僧から流れる

血を見てお前女の子だろ~よと言ってくる。

「・・・・・・ひよこ、痛い?」

「いや、見た目ほど痛くないから大丈夫。」

京君があたしの膝小僧を焼き付くように視線を送る。

怪我よりも視線が痛いよね。イチチッだよね。

たい焼き屋さんに着くとおじさんが救急箱を

慌てて持ってきてくれた。

「よしっ、やるぞ!」

絶対に沁みるだろうなって思って気合を入れて、

腕を捲くって消毒液を膝の上に垂らす。

「ぎゃあああ、ひょえええええ!」

痛さと驚きで声を上げると伊織君があたしの

腕を掴んで悪魔のように微笑んだ。

「これ、どうしたよ?」

あたしの腕を見下ろしながらギラっと視線を

向けてきてしまったと思って目がキョドった。

たい焼きを買ってきた京君があたしと伊織君の

修羅場らしい雰囲気を悟りながらあたしの腕に

視線を向けると明らかに機嫌が悪くなった。

王子な京君がすぐ様居なくなってあたしの心境は

とても複雑なものだった。

ヤバイ!見られた!今まで、何とかやり過ごして

来たのにあと少しで治りそうだったのに!

「そ、そのどれぐらいの強さで血が止まるのか

という実験を・・・・・」

眼力が半端ないぞ!いや、伊織君は穏やかな口調だよ。

でも、多分チラチラと魔界からの使者を連れてそう。

「正直に言わねぇ~と、ウチのちーさんか馨に言っちまうよ。

ほら、俺お口軽い~からねー。口から滑って言っちゃうかもし

れね~よい。」

「悪意こもってますよね?」

伊織君はヘラヘラ邪悪な使者を従えて笑う。

目が全然笑ってないよね!

最早、今すぐにでも言おうとケータイの画面が

開かれて電話帳のページになってる!!

そ、阻止をしないと後々大変なことになりかねない。