京君、言った言葉で照れるって君というヤツはなんて
恥ずかしがり屋さんなんだね!
「ほれ、もう少ししたらたい焼き屋さんだろ~。」
「伊織君、少しは気遣えるのだな?」
あたしの今出来立てホヤホヤの膝小僧から流れる
血を見てお前女の子だろ~よと言ってくる。
「・・・・・・ひよこ、痛い?」
「いや、見た目ほど痛くないから大丈夫。」
京君があたしの膝小僧を焼き付くように視線を送る。
怪我よりも視線が痛いよね。イチチッだよね。
たい焼き屋さんに着くとおじさんが救急箱を
慌てて持ってきてくれた。
「よしっ、やるぞ!」
絶対に沁みるだろうなって思って気合を入れて、
腕を捲くって消毒液を膝の上に垂らす。
「ぎゃあああ、ひょえええええ!」
痛さと驚きで声を上げると伊織君があたしの
腕を掴んで悪魔のように微笑んだ。
「これ、どうしたよ?」
あたしの腕を見下ろしながらギラっと視線を
向けてきてしまったと思って目がキョドった。
たい焼きを買ってきた京君があたしと伊織君の
修羅場らしい雰囲気を悟りながらあたしの腕に
視線を向けると明らかに機嫌が悪くなった。
王子な京君がすぐ様居なくなってあたしの心境は
とても複雑なものだった。
ヤバイ!見られた!今まで、何とかやり過ごして
来たのにあと少しで治りそうだったのに!
「そ、そのどれぐらいの強さで血が止まるのか
という実験を・・・・・」
眼力が半端ないぞ!いや、伊織君は穏やかな口調だよ。
でも、多分チラチラと魔界からの使者を連れてそう。
「正直に言わねぇ~と、ウチのちーさんか馨に言っちまうよ。
ほら、俺お口軽い~からねー。口から滑って言っちゃうかもし
れね~よい。」
「悪意こもってますよね?」
伊織君はヘラヘラ邪悪な使者を従えて笑う。
目が全然笑ってないよね!
最早、今すぐにでも言おうとケータイの画面が
開かれて電話帳のページになってる!!
そ、阻止をしないと後々大変なことになりかねない。

