Hurly-Burly 5 【完】


オラ、どんと来い!

そう思ったのは何分前のことか。

いつまで経っても京君の手はある一定の場所で止まる。

そこに何かバリアが貼られてるかの如くで非常に歯痒い。

それでも、無理やりガバッと京君の手を掴んだら

確実にあたしは京君から嫌われるに違いない。

待つとは言ったからあたしの忍耐強さが問われる時が

ついにやって来たんだと思われる。

「京君、今日はこの辺にしとこう?」

見てると京君の額には汗がこれでもかってぐらい流れてた。

相当頑張っていたんだと思う。

無理に無理を重ねたに違いない。

「・・・・・・もう少し」

「京君に無理して欲しくないからいつでもリハビリ手伝うよ。

だから、今日はこの辺にしてたい焼きさん買いに行こう?」

京君に汗なんて似合わないんだよ。

それをこんなに汗流させちゃってあたしがみんなに責められるよ。

慶詩に何しやがったてキレられるね。

アイツ、何気すぐキレる短気だから困ったもんだわ。

「・・・・・・ごめ」

「謝ることないって言ったでしょ?って伊織君、君って

にゅるっと登場するよね。」

京君の後ろからひょっこり伊織君が出てきた。

「何だよ、ひよこ姫転んじまったのか~?」

「どう見ても転んだの分かるよね?」

伊織君の登場に自然と手を差し伸べてきた伊織君

の手を借りてよっこらしょと立ち上がる。

「おめぇーさ、おばちゃんじゃねーんだからよっこらしょはねえだろ?」

「伊織君、殴っていい?あたしの正義の鉄拳喰らいたい!?」

色男伊織君の登場に京君は心なしか安堵した。

「ひよこ姫、駄目だろ~よ。京ちゃんに無理させちゃ

うなんてさ、慶詩キレちまうよ~、アイツ、短気よ~」

「うん、何かその予想は当たりそうだ。」

伊織君も奴が短気なのをよく知ってるらしい。

「・・・・・伊織、俺は無理はしてない。」

「ん~、知ってるー。俺が京ちゃんと何年の付き合いだと思って

るんですかねー。だからだよ。焦んなくたってひよちゃんは

京ちゃんを待ってくれんじゃねーの?」

ちょっと、伊織君狡いよ!

あたしの前で京君と仲良しアピールしないでよね。

肩組んで見せつけんでも良くないかね!

あ~、クソッ!!男に生まれてきたかったぜ!!