だからね、あたしちゃんと分かってるから。
本当はあたしが転びそうになっていつも京君が
手を伸ばそうとしてくれてるの本当は知ってんだよ?
優しい京君のことだからいつも声を掛けるのが
遅くて落ち込んでるのも実は知ってる。
でも、それで本当に十分ってぐらいなんだ。
あたしを心配してくれるだけでもうあたしは痛くない。
だからさ、そんな悲しそうな顔しなくていいんだよ?
京君は何も悪いことしてないのに自分のせいにしなくていいんだよ。
「・・・・・・・ごめん、」
「京君が謝る理由なんて何一つないよ。これはあたしが
ドジ踏んだのだからあたしが悪いのだ。」
あたしに触れるのが怖いって気持ちはまだあるんだろう。
そんなすぐに変われるとは思ってない。
ただ、たまにユウヤが京君にベタベタスキンシップ
取ってるのをみるとちょっと羨ましくなる。
ナル君の頭を撫でる京君を見てるとあたしも
男に生まれて来るべきだったと思う。
「ひよこに対しての怖いって気持ちは他とは違う。」
京君が躊躇いがちに手をそっとあたしに近づける。
京君だって頑張って克服しようとしている。
みんなは本当に頑張り屋さんだと思う。
あたしの知らないところでそれを発揮してる。
「京君、無理しなくて」
「ひよこは他の女とは別だ。」
それだけで、あたしは京君に嫌われてなかったって思えるからいいよ。
何年かかってもいい。それぐらい、待ってる覚悟だ。
寧ろ、性別なんて男にでもなってやろうか!
「ひよこは・・・・・触れると壊れる気がして怖い。」
キュンってハートが震えた。
そんなふうに思ってくれるとは思っても見なかった。
どっかで、虫けらのように思われたらどうしようかしら
と思いながら頑丈なハートを育ててきた。
「壊れたりしないよ?あたし、頑丈だもんね。巷では、
ハードタイプって言われるほどさ!カチンカチンの
ゴツゴツで京君が触れたぐらいじゃ壊れたりしない。」
「・・・・・・触っていいか?」
「ど、どうぞ何なりとどこでもタッチオッケーよ!」
京君の勇気をあたしがチャンスに変える。
これでもかってぐらい出してくれた勇気だから大切にしたい。

