またもや、茅野先生から物理の本を何冊か借りた。

生物と物理を担当している茅野先生は結構授業が

面白くて比較的仲良くしてもらってる。

ホクホクしながら、今日は徹夜で本を読もうかしら

と思いながら廊下を華麗なステップで歩いてた。

※テンションが上がっているという意味です。

「あれ、京君が1人だ。」

廊下の窓から下を見下ろすと灰色の髪が目立つ

キラキラオーラを見つけた。

窓をガラガラと開けて、息を吸い込んで大きく呼んでみた。

「京君っ!!」

手をヒラヒラ京君の方に振ると、一瞬ビクッと肩を

揺らした京君がこっちに振り向いて少し躊躇いがちに

手をあげたのを見てまた照れてるなと思った。

京君は勘違いされやすいけど、あれで不器用ながら

優しいところがあるんだ。

「京君、どっかお出かけするのか?」

「・・・・・・たい焼き」

京君はちぃ君がというよりかみんながすごく好きなんだと思う。

本人は認めないだろうけど、ナル君の時もそう感じるところがあった。

「あたしも行く!着いて行く!今から下降りるから待って!

ものすごい急いでいくから置いてかないで!」

そう言って、窓から見下ろした京君はフッと口元を

緩めてすぐに真顔に戻った。

本当に、君は照れ屋だよね。いや、知ってたけどさ。

笑ってもいいのにすぐに真顔に戻るからな。

まぁ、イケメンだけどさ、真顔の時の京君はキラキラオーラが

眩しいぐらい輝いてるからまさにプリンスだ。

もし、京君が実はどっかの国の王子様でしたって

言われても納得出来てしまう気がする。

「ぬおっ!!!」

階段を駆け下りて足早に玄関に行き、靴を履き替えると

京君が玄関からひょっこり顔を出した。

「・・・・・・・ひよこ、慌てるな。」

「いや、だってよ。京君、あたしをシカトして行っちゃう

かもしれないでしょうよ。」

「先に行ってる・・・・・」

「だ、駄目だ!置いてったら今日1日ショックで落ち込むの必須だよ!」

「・・・・・・・シカトしてるつもりはない。」

京君が考え込みながらそう言うものだからギョッとした。

少しずつだけど、京君との距離も縮んでるのかな?