ぶひょーっと鼻血が飛び出して手で抑えた。
可愛いナル君に一滴も垂らしては駄目よ日和!
「好きだ、ヒヨリン。すきすきすきすきすき
俺初めて好きになった女の子ヒヨリンなんだ。」
そ、そんなに連呼されると非常に参るよね。
もうハートが耐え切れずに家出支度してるよ。
あたしのハートちゃんはどうも忍耐に弱いらしいよ。
「うっ、ナル君に鼻血を付けるわけには!」
「だ、大丈夫か!?」
ナル君の目から零れ落ちる涙はすっかり変わってた。
「ええ、それはもう慣れてますので。
しかし、鼻血がこの寒さで異常に固まるの早いのです。
カピカピになったあたしの手が悍しいので気をつけてください。」
これじゃあ、ナル君の頭撫でてあげられないじゃないか!
あたしとしたことがウェットティッシュを常備すべきだったわ。
今回の反省点はまさにこれね!!
「一緒に洗いに行こうな?」
「ナル君、付いてませんよね?可愛いナル君を汚したら
あたしみんなに殺害されるに違いません。」
殺意を精々向けられないように今後は気を付けよう。
「そんなことしねえよ!」
「駄目よ、ナル君手は触っちゃ駄目なのよ!
他はどこでもいいけど、今は絶対に駄目だ。」
ぷうっと頬を膨らませて拗ねるナル君がやっぱり可愛い。
「一緒に着いて来てくれるんですよね?」
「おうっ!ヒヨリン、馨にティッシュ貰いに行こうな?」
「うぬっ?」
ナル君が楽しそうに隣を歩いてるのを見ると、
嬉しくてキュンとする。
この可愛い笑顔をあたしも守りたいと思った。
次からはあたしもナル君護衛部隊の一員として
活躍しようと思っている。
「おー、純情コンビってオメェ・・・・」
「何か、悲惨なことがあったようだね?」
慶詩も馨君もあたしを見た瞬間絶句だった。
そして、電話を切った伊織君は一瞬あたしを
見ると明らかに動揺してケータイを落とした。
ユウヤと京君は言葉にもならなかったらしい。
「な、何、あたしの強さに恐れ入ったか?」
「・・・・・鼻血まみれの顔どうにかしろ。」
ちぃ君に何やってんだて視線を送られて
あたしは自分の被害状況をそこでやっと確認した。
恐るべき失態だった。
これはもう鼻血が付いたレベルじゃなかった。
もうどこかの獰猛な動物が小動物一匹を
食した後のシュールさだった。

